どちらも新たに従業員を雇った事をきっかけに申請できる助成金です。
今回はどちらの助成金の方がお得なのか?について記載します。
また、併給は出来るのか?についても記載していきます。
結論を言うとキャリアアップ助成金の方がお得です!
キャリアアップ助成金(正社員化コース)は57万円(非正規→正社員)、
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)は最大12万円だからです。
だったら、キャリアアップ助成金の方が絶対に良いやん、と思いますよね。
私もそう思います。しかし、キャリアアップにはいくつかのハードルがあるのです。
ハードル①就業規則の整備
常用労働者が10人以上の場合、就業規則を作成し労基へ届け出の義務があります。
10人未満ですと作成義務は無いのですが、キャリアアップ助成金を申請する場合、作成する必要があります。
また、その就業規則にも、助成金の要件を満たす条文を規定する事が求められます。
ハードル②賃上げを行う
非正規から正社員への転換時に3%以上の昇給を行う必要があります。
例1)契約社員→正社員
基本給:200,000円 →206,000円 (6,000円以上の昇給が必要)
職務手当:30,000円 →30,900円 (900円以上の昇給が必要)
例2)有期パートタイマー→正社員(時給1000円、月の所定労働時間が168hの場合)
基本給:1,000円(時給)×168×1.03=173,040円
月給173,040円以上となるように基本給の設定が必要です。
ハードル③受給までの期間が長い
トライアルは最大3か月の契約期間の後すぐに申請できますが、
キャリアアップは最短スケジュールとしても、
非正規で6か月、正規で6か月経過後に申請し、審査の期間が4か月~半年はあります。
つまり雇い入れから受給まで合計1年半かかるというわけです。
しかも、正規で6か月経過するまでに退職されてしまうと、申請自体が出来ません。
せっかく雇用して昇給もしたのに、6か月経過するまでに辞められてしまうと、
助成金が貰えないというリスクがあるのです。
トライアルは、雇い入れから3か月を経過するまでに無期雇用に転換すればOKなので、
キャリアアップに比べると、退職によるダメージは少ないでしょう。
キャリアアップ助成金 | トライアル雇用助成金 | |
助成額 | 57万円 | 最大12万円 |
就業規則の整備 | 必要 | 不要 |
転換時の昇給 | 必要(3%以上) | 不要 |
求人 | ハローワーク、民間でもOK | ハローワークでトライアル求人のみ |
雇い入れから受給まで | 約1年半 | 約5か月 |
キャリアアップとトライアルの同時併給は出来ない
キャリアアップ57万円+トライアル12万円の両取りは出来ません。
しかし、以下のパターンのみ同じ人でも併給が可能です。
例)ハローワークのトライアル求人から雇い入れ
①有期契約として3か月経過
②無期雇用に転換 ⇒ トライアル雇用助成金の申請(助成額は最大12万円)
③無期雇用として6か月以上が経過
④正社員に転換(3%以上の昇給)
⑤正社員として6か月経過 ⇒ キャリアアップ助成金の申請(助成額は28万5千円)
しかし、お気づきの通りキャリアアップの助成額が半額になっています。
無期から正社員への転換では57万円では無く27万5千円なのです。
トライアルと合計すると12万円+27万5千円=39万5千円となります。
つまり、同じ人について併給出来なくは無いが助成額は少ない、という訳です。
助成額が少なくても良いから、まずはトライアル期間で能力を見定めたい。
その後、正社員にするか判断したい。という場合に使用されるパターンです。
【結論】どちらが良いかは経営者の判断による
どうしてもお金に目が行きがちですが、
両者の助成金は人材を雇い入れて長く会社に定着してくれる事を目的としています。
とはいえ助成額が大きいほど会社は助かりますのでキャリアアップ助成金をオススメします。
しかし、就業規則の整備・賃金の昇給などコストがかかりますし、受給までの期間も長いです。
トライアルならハローワークにトライアル求人を出すのは無料ですし、
3か月の期間で見定めて、契約満了の退職とするか無期雇用として契約するかの選択が出来ます。
どちらが良いかはお金とリスクを天秤に掛けて判断されて下さい。
最後に、上記以外にも様々な助成金がございます。
ご興味のある方はお気軽にお問合せください。
御社に最適な助成金のご提案をさせて頂きます。