【必携】産休・育休を取りたいと言われたら

はじめに

ある日、従業員から産休・育休を取りたいです、と言われたらどうしますか?

「うちはそういう規則(就業規則など)が無いから取れない」と思っていませんか?

結論から言うと、産休・育休は誰でも取得できます。

就業規則が無くても、法律上当然に労働者が持つ権利だからです。

しかも、社員やパート、アルバイトなど雇用形態を問いません。

詳しく理解するため、労働基準法と育児休業法の条文を見ていきます。

 

労働基準法による産休に関する規定

①使用者は6週間以内に出産する予定の女性が休業を請求した時にはその者を就業させてはならない。

⇒産前休業は本人から要望がなければ働かせて良いです。本人がその会社で社保に入っていれば出産手当金の対象となる期間ですが、未加入の方はギリギリまで働く選択をされる事があります。

 

②使用者は産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。(ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合はにおいて、その者の医師が支障がないと認めた業務に就かせることは差し支えない)

⇒産後休業は要望の有無を問わず8週間働かせてはいけません。

 

①②に共通しているのは、女性のみである事。雇用保険の給付金の制度が無い事です。そのため、社保に加入していれば出産手当金で給料の約67%が補償されますが、社保未加入や旦那の扶養の場合補償はありません。

 

育児・介護休業法に関する育休に関する規定

「労働者は、その養育する1歳に満たない子について、その事業主に申し出る事により、育児休業をすることができる。」

 

産後休業とは違って、本人が会社に申し出る必要があります。

性別を問いません。社員やパート、アルバイトなど形態も関係ありません。

極端な例をあげると、入社1日目の男性のアルバイトでも取得できるという事です。

(後述の労使協定が無い場合です。)

また、雇用保険に加入していれば育児休業給付金の対象となり給料の約67%が補償されます。

 

産休・育休を取りたいと言っても拒否される場合

まずは社長や担当者に就業規則などの社内規定がなくても法律上当然に取得できるものである事を伝えましょう。それでも応じてくれない場合、産休の場合は労働基準監督署に、育休の場合は労働局に相談できる制度があるので窓口に行きましょう。後日、各署から指導や是正が入ります。

 

労使協定を締結すると制限を設けられる

入社1日目で育休を申し出られると会社はたまったものではありません。そういった事を防ぐために、事前に労使協定を締結することで休業リスクを緩和できます。

 

<以下のものは除外対象とする労使協定>

①引き続き雇用された期間が1年未満のもの

②申し出日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかなもの

③1週間の所定労働日数が2日以下のもの

 

<有期契約労働者が取得できる場合のルール>

申し出時点において子が1歳6か月になるまでに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと(育児休業法第5条の申し出にあっては2歳)

※令和4年3月31日まで「入社1年以上であること」の要件がありましたが、法改正により撤廃されました。

 

上記内容の労使協定を締結しておく事で、入社すぐの取得は出来ません。

逆に言うと労使協定が無ければ、法律上取得できるという事です。

 

 

まとめ

10人未満で就業規則が無くても、労使協定は必ず締結しておきましょう。

昔のものはあっても法改正があったので巻き直す必要があります。

当事務所では労使協定を作成できますのでお気軽にご相談ください。